無題
絶望することがあって。
天国から地獄に突き落とされたわけだけど。
年老いた母が泣く私の背中をさすって
人生は短い。少しでも楽しいと思うことをして気をまぎらわせて生きるしかない
と言ってくれて。
少し前なら『そんなのあるか~い!』と自暴自棄になっていたところだったけど。
ふっと頭に絵が浮かんだ。
私には絵がある。
この気持ち音楽に使えないだろうかと。
何度も何度も弾いた。
たぶん10時間くらいを3日間
繰り返し繰り返し同じ曲をただただ繰り返す。
初めは個人的な絶望感、段々トランス状態になっていく。
音の世界の中に入り込む。
不思議な高揚感。
表現したい気持ちに溢れていく。
そのうち…客観視できる自分がいた。
気をまぎらわせて生きるためのものだったなんてと少しがっかりもするし。
究極に素敵なものを手に入れたんだとも思う。
打ち込めるものがあることは幸せだ。
何もなかったら…以前のように病んでいただろう。
全身全霊弾き続けスイッチが切れたように気付くと床で目が覚める。
母に録音したベートーヴェンを送る。
一度も返信のなかった母から初めて感想が送られてきた。
久しぶりに聴いたmaiちゃんのピアノ。
いいね。maiちゃんらしいね。
maiちゃん、子供の頃のように久しぶりにそう呼ぶ母
私らしい…私らしさ…。
やっと取り戻せたのかなぁ。
こんな究極まで行かないと取り戻せなかったのか。
私の人生ジェットコースターだな。ホントに。