母と旅行 2

母と二人で旅行なんてあったかなと考えると思い出せない。

私と母は折り合いが悪かった時期が長くあり20年以上話をしなかったし10年以上会わなかった。

折角縁あって親子に生まれてきたのにわかり合えずに終わるのかと覚悟したこともあった。

数年前に子供のことで協力し合うようになった。


それでも母の前で自分を保っていられるようになるのに5年かかった。

今は母の前でも緊張しなくなった。

ありのままの私でいられるようになった。

心の中に渦巻いていた気持ちはきちんと整理され今は感謝しかない。


母も今は私を認めてくれている。

母の心の整理も出来たのだろう。

私たちはお互いを理解し合うのに長い長い時間が必要だったのだろう。


この旅で母が動作が非常にゆっくりになったのを感じた。

足場が悪いところは母の手を取って歩いた。

母の手は冷たくて骨っぽかった。

母は照れ臭いのかすぐに手を離した。


夜には母の足をマッサージした。

萎びた足の指、二人で漬け物みたいと言って笑った。


家族風呂を借りて母と二人でお風呂に入った。

母はちょっと恥ずかしがっていたように思う。


露天風呂の前はこんな景色。

二人で半身浴をしながら眺めた。


良いお湯だね、幸せだね😃

そんな風に二人で言い合った。

お宿はアップグレードされてスイートルームだった。

ベッドルームは二つあって私たちは別々に眠った。

美味しいものをたくさん食べた。

私はレンタカーを借りて400キロほど走った。

母は助手席でずっと昔話をしていた。


途中お寺に立ち寄った時、手を合わせながら

『この幸せが長く続きますように』と願った。

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