14年



あの日、同じ病院で同じ日に出産した彼女は人の心にすっと入り込んでくる不思議な人だった。


まるで昔からの親友のように笑う彼女。

彼女には実はものすごい恩義がある。


ある日仕事なのにシッターが急にキャンセルになった。

子供を見てくれる人が見付からなかった。

子供はまだ2歳くらい。

時間が迫る中、あ!と思いだし恐る恐る電話をして説明すると彼女は何の抵抗もなく二つ返事

「いいよ、連れておいで~😀」と言った。


家も知らない。

何度か公園で遊んだがそれだけだ。


彼女は慣れた感じで子供を預かり行ってらっしゃいと送り出してくれた。夕飯にカレーも食べさせてくれた。

シッター代を受け取ってほしいというと頑としていらないという。


それから私は引っ越しをして。

年賀状だけの付き合いが続いていた。


子供の発達障害がわかり私が鬱が酷くなったときランチでもしようと誘ってくれたのは7年前。


今年も年賀状が来ていたが私は誰にも年賀状を書かなかった。

彼女からメールが入ったのは先日の事

今日会ってきた。


あの日と同じ笑顔の彼女は14年前と同じ親友のように接してくれた。

それが彼女なんだろう。 


「2時間なんて短いよ~、私が家のそばまで行けばもっと話せる?」


そんな風に言った彼女。

本当にあっという間の2時間だった。

彼女に会うのはたぶん、5回目くらい。

また会おう!連絡する!

彼女がそういうので年賀状の非礼を詫びた。


返事来なかったらまたメールするから。


とがめる風でもなくそう言って別れた。


今度は7年後?

お互い子供は成人している。


私たちはどんな話をするんだろう。


不思議なご縁の彼女に心がホッコリした。

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