老人狂詩曲

父がおばちゃん2を伴ってやってきた。

おばちゃん1に会うため。


姉弟勢揃いだ。

おば2には認知症がある。

かなり進んでしまった。


おば1は95歳。骨折して車椅子だ。

父は数年前姉弟で最後の温泉旅行に行きたいと言っていたがそれはかなわなかった。


私はおば1には2ヶ月に一度くらい会っているがたぶん三人(+私)が会うのは5年ぶりくらいか。

車椅子を軽自動車に詰め込み父は忍者のように乗る。おば1とおば2を介助しながら何とか乗せる。


お寿司屋に行くが食べられないものがある人がいたり何でも良いという父がいたり。

それも想定して私は自宅で済ませてきた。


食べられそうなものを三人分注文する。

(板さんがいるのにタッチパネルってなぁ…)


認知症のおば2はトイレばかり行く。

しかもあまり我慢がきかないので女子トイレがいっぱいだとすっと男子トイレに入ってしまった。

前で待つ。

来た男性に『すみません💦お借りしてます』と謝る。


お会計を先にして車を回して来るまで父におばたちを見ていてもらう。

父の財布を開けると100万くらいの札束が!

げ😱こんなの持って歩くな~💦


おばちゃんを施設に送ると父が冗談のように言う


👴『私は遠いからもう来られないけど。姉ちゃん今欲しいものはないのかい』


95歳でも元気で頭のしっかりしたおばちゃん

👵「maiちゃん!またね🙋」

後ろで職員さんと話す声


👵「あれは妹。それから弟。それで弟の嫁!」


げ!😲


🐸『おばちゃん、私はあなたの弟の娘です!🤣』



帰り道父が言う。

👴『お前金ないんだろ』

🐸「お米ちょうだいとか言ったから心配したんでしょ?あるのあるの。あるけど下ろしちゃうと使っちゃうからある分でやっていきたいな~と思ってね」

(もちろん子供の口座から拝借したなんて言わない)


👴『お前にもっと前からやっておくべきだったんだ。この間銀行に行って聞いてきた。相続のこととかも聞いてきたから』



うん。



知ってた。



パパ病院で宣告を受けてから長いこと銀行に行ったのはそう言うことなんだよな。


🐸「何かあった時に家とか土地とかどうするのか私不安ではあったんだよね。後で一緒に銀行に行って聞くよ」


そう普段のように言った。

父はいつもより穏やかな顔で楽しそうな声で話す。

昨日は五年ぶりに友人に会いに行ったのだそう。

頼む!今日はおごらせてくれ!と言ったが社長をしている父の友人がいつものように払ったのだそう。


🐸「パパ、そう言うならもっと高いもの食べさせなきゃダメでしょ~😆2000円くらいでおごらせてくれ!なんてセコイわぁ」


そう言って笑ったが父の思いが伝わってくる。


👴『定期も全部解約してきたんだ』

🐸「そっか~」


後部座席のおばちゃん2が、ひっきりなしに看板を読んでいる声がする。

👵「○○建設…ローソン…○○電機…」

👵「ねぇ、どこに行くの?」

10分毎に繰り返す。

👵「ねぇ、○○(自分の息子の名前)どこに行くの?」


👵「あんた(mai)の子供私会ったことある?」


🐸「うん、良くしてもらったよ。もう私より大きいよ」


👵「あれ?男の子?」


おばちゃんの記憶からは息子は完全に消えてしまっていた。

 

🐸『またおいでよ、おばちゃん』そう言うと

👵「アタシもう来れないんだよ…」そう答えた。

🐸『パパと一緒に…あなたの弟さんと一緒に来たら良いじゃないの』


おばちゃんは答えなかった。


『桜』

イメージはあるがうまく表せない。

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